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桧舞台

 「まったく憎いったら、ありゃしない」

 峰子は元通りに柱に縛り付けられたお竜の乳房の脇をつねりあげながら憎く憎くしげに吐き捨てた。落合にも詰め寄られているお竜は生きた心地もしなかった。

 「逃げ出すなんてどういう了見だ。それなりの覚悟ができてんだろうな」

 お竜の形の良い顎をつかんで脅しを掛けようとする落合を制したのは源三だった。

 「落合はん。わしの手落ちだす。別嬪はんを許しておくんなさい。わしが魔がさしたのですわ。桧舞台を務めさせましょう」

 「だが、逃げだした事の仕置きはさせなくてはならん」

 「それはこのステージを終えてからにしまひょ。いいな別嬪はん。打合せは覚えてるな。つつがなくこなすんやで」

 いつにない源三の優しさにお竜は縋がるような視線を向けた。

 「よし。二回目のステージは中止だ。今日はこの一回かぎりだからな」

 落合はお竜に吐き捨てるように言うと司会のために階下に降りていった。

 それから数分後、お竜は源三に先導され猶落への階段を下り始めた。落合の景気の良いアナウンスが響いてくる。

 「皆様、大変お待たせ致しました。当ホールの看板スター、ドラゴン・ナンシーの登場です」

 お竜は源三に促されて屈辱への階段を歩み始めた。

緊縛された均整の取れた美女が越中褌一つを身に付けただけの姿でステージに登場すると観客は大歓声を上げた。もちろん、目にはマスクを付けてはいたがその姿は男たちの溜息を誘うのには十分だった。

 お竜がマイクの前に立ち止まると観客は息を飲むように静かになった。しかし、これだけの男たちの視線が裸の自分に晒されていると思うとお竜はハイヒールを履いた足を震わせ口を開くことが出来なかった。

 「何をしてるの早く口上をお言い」

 黒子の姿になって付き添っていた峰子が背中を突いた。

 「み、皆様。いらっしゃいませ。ドラゴン・ナンシーでございます」

 お竜は震える声で教えられた口上を述べ始めた。

 「本日よりこちらのホールで専属スターとして皆様のご機嫌を伺います。末長くご愛顧の程、宜しくお願い致します」

 お竜が深々と頭を下げると割れんばかりの拍手と卑猥な野次が飛んだ。しかし、屈辱の口上は終わらなかった。

 「本日は私の拙い芸をお見せした後、私の可愛い燕との交わりをお目にかけます」

 お竜がやっとのことで口上を言い終えると源三と峰子は天井から垂れている鎖にお竜の体を固定した。いよいよ、地獄のショーの開演であった。